| 9点句 |
書き込みの増える楽譜や小鳥来る |
たか志 |
特選 |
一人 |
ジョン・ケージの楽譜は書き込みでいっぱい。絵のような音符。音楽のような言葉。それ自体が芸術作品のようだ。秋になると世界が美しくなってゆく。その感動が楽譜の書き込みとなって音楽がさらに輝きだす。 |
| 特選 |
喜誉司 |
これと似た瞬間を思い出してしまいました。 |
| 選 |
きっこ |
徹夜で作曲か音楽の勉強をしていたのでしょうか。徹夜明けの疲れた目に、朝日がしみるようです。 |
| 選 |
齋藤朝比古 |
習熟してゆく過程と小鳥の取り合わせはなかなか気持ちよく響く。 |
| 選 |
showmaru |
その人は頭かきむしるベートーベン、いやベートーベンを弾くシュレーダーかな。だってやって来たのはウッドストックみたいだもの。 |
| 選 |
山口あずさ |
いかにもの風景なのだけれども、とてもいい感じ。 |
| 選 |
草もち |
ある曲の演奏を深めていく作業なのか、楽譜に書き込みをしていく。その静かな情熱と、「小鳥来る」のマッチングがいいと思いました。 |
| 感想 |
白井健介 |
きちんとまとめあげられている、ちゃんと出来ている句だと思いました。 |
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| 7点句 |
| 秋深しコントラバスは森の音 |
きっこ |
特選 |
齋藤朝比古 |
うん。イイ世界。この感覚は好き。 |
| 選 |
松たかし |
調和のとれたいい句。その分、ややアピール力に欠けるかな。 |
| 選 |
喜誉司 |
私だけかもしれませんが、コントラバスだと山とか大地のような気がして・・・でも、キレイな作品ですね。 |
| 選 |
白井健介 |
一句全体が醸し出すどっしりとした説得力に素直に納得させられました。 |
| 選 |
子子 |
なんか、納得させられますね。 |
| 選 |
草もち |
コントラバスの低い音は、なるほど森の音かもしれない。 |
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| 5点句 |
| 君が代の好きな父なり衣被 |
齋藤朝比古 |
特選 |
きっこ |
不器用で昔気質、寡黙で真面目な父親のイメージと、ごわごわの皮の中から真っ白な顔を出す衣被との取り合わせが、とても良く響き合っています。 |
| 特選 |
白井健介 |
いやぁ「衣被」がほんとうに絶妙だと思います。私も「君が代」わりあい好きですしねぇ…。讃。 |
| 選 |
喜誉司 |
楽しく悩んで!?読みました。 |
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| テルミンの歌う夜月の冷たい夜 |
草もち |
特選 |
showmaru |
「テルミン」と「冷たい月」とは過ぎたシチュエーショにも思えますが、ぜひ立ち会ってみたいです。 |
| 選 |
一人 |
ほかに好きなところはどこにもない句だがテルミンだけが好き。その音は秋の夜を一層透明にしてゆく。昔の詩人は「ヴィオロンの忍び泣き」と詠んだけれど、今ならなんと言ってもテルミン。 |
| 選 |
たか志 |
テルミンを題材にしたのは新鮮。でも、「月の冷たい夜」まで書いちゃうと、全部言っちゃったっていう感じが・・・。 |
| 選 |
子子 |
これは、テルミンの勝ち! |
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| 4点句 |
| 最終回見ずじまひ蛇穴に入る |
白井健介 |
特選 |
たか志 |
7音の作りにくい季語を、とても上手に使っていると思います。勉強になりました。 |
| 選 |
山口あずさ |
季語が効いている |
| 選 |
一人 |
そういえばあのドラマ結末はどうなったんだろう。別に知りたくもないけど、見忘れたことが妙に気になる。見てさえいたら「つまらないドラマだったよ」、って言えるのに見なかったから言えないじゃないか。本当はつまらなかったんだよね、ね。 |
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| 卵二つ割りて仲直りの夜食 |
一人 |
選 |
草もち |
鍋焼きうどんか何かでしょうか。夜食で仲直りとは、アツイお二人さんで。 |
| 選 |
白井健介 |
「仲直り」出来て、ほんとにねぇ……めでたしめでたしですよ。あとはまぁ勝手にどうぞ好きにやってください、って感じ…。 |
| 選 |
たか志 |
ほのぼの恋愛路線?!ですね。 |
| 選 |
showmaru |
こんな暖かい句が欲しくなる季節になりましたね |
| 感想 |
松たかし |
70年代のフォークソングをイメージしました。でも、その頃より明るい。 |
| 自解 |
一人 |
一人分の材料で二人分の夜食。卵だけは二つ割って、ぐつぐつ煮えてくる音にわだかまりが解けてゆく。 |
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| 3点句 |
| 吊革はレゲエのリズム稲雀 |
きっこ |
選 |
たか志 |
稲雀が効いているかは疑問ですが、上五中七は好きでした。 |
| 選 |
showmaru |
レゲエに似合う季語がいいですね。 |
| 選 |
齋藤朝比古 |
どのあたりを走っている電車なのだろう。稲雀のいるようなところだから、一両編成車かも。なにやら癒される景。 |
| 感想 |
白井健介 |
中七までのフレーズは抜群に好い、そう感じたのだが「稲雀」が私のなかでもう一つしっくりこなかった。惜しい句だと思いました。 |
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| 蟋蟀やおひとよしねといふ女 |
一人 |
特選 |
松たかし |
女の情みたいなものを感じる。女はきっと「LOVE」ではなく「惚れてる」んですよね。いい夜なんですよね。好きです、こんな世界。 |
| 選 |
喜誉司 |
「燃えよカンフー」(だっけ?)の台詞を思い出しました。 |
| 感想 |
山口あずさ |
演歌? |
| 自解 |
一人 |
蟋蟀は理想家。ユートピアを信じてとっくに寒くなっているのに歌うことをやめない。冬ごもりもしないで。 |
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| 覗き込む丸の世界の猫の顔 |
芽実 |
特選 |
子子 |
これ、面白いですね。丸の世界、一緒に覗き込みたいです。 |
| 選 |
喜誉司 |
猫はどんな風に感じたのでしょうね。 |
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| ふるさとへ帰るかたちに鶫果つ |
齋藤朝比古 |
特選 |
草もち |
鶫って、群れてうるさくあんまり好きになれない鳥だけど、こう詠まれると哀れを誘うなあ。翼を広げたままの野鳥の骸を、「ふるさとへ帰るかたち」と詠んだやさしさに、一票。作者も渡り鳥のような人生を歩んでいて、鶫に何か共感するところをお持ちなのでしょう。 |
| 選 |
きっこ |
ツグミはシベリアから渡って来る小鳥ですから、北のほうを向いて、翼を広げて死んでいたのですね。良い句なのですが、ツグミがシベリアへ帰る時季、春の句として詠まれていたら、もっと良かったと思います。 |
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| 2点句 |
| のら猫の櫛削られて秋深し |
子子 |
選 |
白井健介 |
野良猫を「のら猫」と表記するのは別に違和感も無いのだが「櫛削られて」は〈梳られて〉とする方が自然ではないかなぁと思った。内容はとても好き。 |
| 選 |
一人 |
臭くて硬くてうるさくて痛い。毛をばりばり梳ると大量の毛が抜けて野良が金切声をあげる。必殺の爪が飛んできて私の手はもう血だらけだ。晩秋の光景としてこれほど物悲しく不条理なものがあろうか。 |
| |
| ひと呼吸入れし歯科医の赤い羽根 |
白井健介 |
選 |
きっこ |
白いマスクと白衣、そして診察室の壁や天井も白。その中での一本の赤い羽根が、ひときわやさしく揺れています。 |
| 選 |
一人 |
きーんがりがりがり。痛くて怖くて目をつむっていたけどこの歯医者、赤い羽根つけてるじゃないか。さっきからそれが頬にあたってくすぐったくて堪らん。そんないい人ぶらなくていいから もっと痛くない治療してくれよ。 |
| 感想 |
松たかし |
なんとなくほのぼのさせてくれる句です。でも、赤い羽根ってどういうボランティア?はっきりしないですよね。 |
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| 満月や鏡はすべてを記憶する |
山口あずさ |
選 |
子子 |
怖い鏡です。しかも満月。 |
| 選 |
たか志 |
こういう句はどうなんだろう?と思いながら、なんか目に留まってしまってしまって採っちゃいました。 |
| 感想 |
齋藤朝比古 |
俳句における潔い断定。この満月はニヒルだなぁ。6句選なら取ってた。 |
| 感想 |
白井健介 |
内容的には“こういう世界”って嫌いじゃないなぁ…なのですが…。 |
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| 群とんぼ飛行機雲の五線譜に |
showmaru |
選 |
チカゲ |
絵心のある方なのでしょう。頭に風景が思い浮かびました。 |
| 選 |
山口あずさ |
ほのぼの。 |
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| 灯油屋の登場の曲柿紅葉 |
白井健介 |
選 |
きっこ |
音楽を鳴らしながら、住宅街を回る灯油配達車。こんなことにも冬の到来を感じるのですね。「登場」が効いています。 |
| 選 |
草もち |
移動販売の灯油屋、というのは暖地に住む者にはなじみがうすい。北国に住む人ならではの秋の感じ方だと思いました。「登場の曲」という、トボケ方も好き。 |
| 感想 |
齋藤朝比古 |
灯油屋の登場の曲は面白いなぁ。でもこのフレーズで十分冬の季感が出てしまっているので、柿紅葉は蛇足だったかも。 |
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| 秋立ちぬ今封印を解き放つ |
子子 |
特選 |
チカゲ |
誰しも人には言えないけれど、こころにあるものでしょう。 |
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| 出せぬまま案山子に聞かすラブレター |
showmaru |
選 |
山口あずさ |
案山子が照れたりして。 |
| 選 |
白井健介 |
ちょっと作り込み過ぎた筋書きという感はあるものの「案山子に聞か」せている場面を想い浮べると実にユーモラスで微笑ましい。そこが好いです。 |
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| 冬近し捨つるごとくに繰る楽譜 |
齋藤朝比古 |
特選 |
山口あずさ |
激しさがかっこいい。 |
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| 1点句 |
| 猫じゃらしどこかで聞きしアリアかな |
草もち |
選 |
松たかし |
どこか懐かしさを感じます。やや予定調和的ですね。 |
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| おみやげのほほずきもらひまたあした |
たか志 |
選 |
齋藤朝比古 |
軽いタッチだが、またあしたという前向きな視線がイイ。「おみやげの」に今ひとつの突っ込みが欲しい気も。 |
| 感想 |
松たかし |
メルヘンがこころをほっこりさせました。仮名遣いがいい。 |
| |
| 銀杏散る音楽室にデスマスク |
一人 |
選 |
松たかし |
「音」をテーマにした句の中でいちばんどきっとしました。デスマスクは誰の?少し言葉遊びが過ぎるかな。 |
| 自解 |
一人 |
あるべきものがない。放課後の音楽室には音がない。音楽家たちの肖像には笑みがない。きらきらと銀杏は散ってゆく。 |
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| ジャズメンのくはへ煙草や荻の風 |
きっこ |
選 |
松たかし |
「くはへ煙草」と「萩」が妙に合っているんですね。ただ「くわえ」ではないのでしょうか。 |
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| ボサノバのピアノが軽い秋に棲む |
松たかし |
選 |
子子 |
「軽い」にちょっと目眩を起して、採ってしまいました。 |
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| 靴底に樹木の魂冬近し |
喜誉司 |
選 |
齋藤朝比古 |
「塊」の方が良かったかも。(初見のときはそう思って読んでた)。「魂」にはなにやら知的操作の匂いがして・・・。でも、靴底にぐりりとあたる樹の感触と冬間近の季感の取り合わせは秀逸。 |
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| 0点句 |
| 夜泣き頃耳に届くは星の唄 |
芽実 |
感想 |
山口あずさ |
夜鳴き頃って、何時ぐらいなんだろう?丑三つ時だったりして。 |
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| 紅葉狩り心音ずらす反抗期 |
山口あずさ |
自解 |
山口あずさ |
大人はわかってくれない。 |
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| 三味の音にブレーキ握る路地は秋 |
喜誉司 |
感想 |
白井健介 |
この句「路地は秋」でなく〈路地の秋〉だったら採りたい気がした。 |
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| 最果ての地獄でできた流行歌 |
子子 |
感想 |
山口あずさ |
「流行歌」にしては、深刻すぎる。 |
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| 全員集合花野のロンドうふんあはん |
草もち |
感想 |
山口あずさ |
「ちょっとだけよぉ〜♪」(by加藤茶)ではないのか。 |
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| 金曜日名前はまだない秋の猫 |
松たかし |
感想 |
山口あずさ |
生まれたてなのか。でも、金曜日に必然性を感じない。単なる偶然? |
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| ピースする園児もみぢのパーに勝ち |
showmaru |
感想 |
山口あずさ |
かわゆいですね。 |
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| 別れ謡紅葉の下に見え隠れ |
喜誉司 |
感想 |
山口あずさ |
なぜ紅葉なのか、今ひとつ説得力に欠ける。 |
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| 秋心 ほのかに灯す ドビュッシー |
チカゲ |
感想 |
山口あずさ |
ドビュッシーでなくてもいいような気が。。。 |
| 自解 |
チカゲ |
ドビュッシーの前奏曲の中に「亜麻色の髪の乙女」、「沈める寺」という曲があります。色んな季節に聞きますが、ドビュッシーの曲は秋にぴったりだとおもいます。庭に咲くきんもくせいや、せんにちこうを眺めながら聞くドビュッシーの曲はしみじみとするものがあります。色んな想い出を胸に駆け巡らせて、聞いています。 |
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| 夜長し音符に幽閉されてをり |
山口あずさ |
自解 |
山口あずさ |
音符の連なりを檻に見立てたつもり。 |
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| ドレミ色アルハズノモノ虹音符 |
芽実 |
感想 |
山口あずさ |
虹を五線譜に見立てるのはありがちだが、ドレミ色はすなわち虹色なのか? |
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| 秋晴れやふらりと寄りて陶器市 |
たか志 |
感想 |
齋藤朝比古 |
秋の心持ちあり。ただ、「寄りて」は言わずもがな。 |
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| 秋晴れやふらりと寄りて陶器市 |
たか志 |
感想 |
白井健介 |
「寄りて」でも軽く切れる感じになるのを避けられればその方がベターですけどね……例えば《秋晴やふらり立ち寄る陶器市》というふうにしたりとか…。 |
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| 蜘蛛の巣に凭れていたい子守歌 |
松たかし |
感想 |
山口あずさ |
うとうとしていると、蜘蛛が食べに来る、というような考えがふと浮かんで、子守歌どころではないような気が。。。 |